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クマガイについていくことのみ
だが、そんなクマガイの決意を知る由もないあずみは、ただクマガイを嫌悪する。
「拙者の前から消えろでござる、クズが」
「!!」
あずみの言葉は、ツェゲンたちにとってはより反感を抱く理由となる。
自分たちが崇める邪神が、悪しざまに罵られるのは気に入らないのだ。
(今すぐ殺してやりたい……! この不遜な魔物を……!)
ツェゲンたち“楔”の誰もが、あずみを睨み付ける。
だが、あずみの眼中に彼らは既にない。
あずみは不遜だ。
よって、“楔”の誰もが不愉快さに心乱され、最低の気分だと吐き捨てたいと思っている。
だが、クマガイを見やると、激昂する雰囲気は微塵もない。
むしろ穏やかですらあり、ツェゲンたちは言葉を吐くことなく飲み込んだ。
本当は屈辱をそそぎたかったツェゲンであったが、あずみとクマガイの間には、一触即発の空気すらなく、あずみが罵り、クマガイがただ聞く流れが繰り返される。
顔を見合わせる“楔”の行く道はクマガイについて行くことのみ。




