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服部あずみは割り切れていない
誰もがクマガイに戦慄する中、服部あずみだけは冷やかに見つめている。
今のクマガイはまさに凶獣。
……でありながら、達観した賢者の様な雰囲気も漂わせている。
それはもはや、あずみの知るクマガイではない。
(うさんくさいでござる)
そもそも、あずみにとってのクマガイは、性格が最悪の変態というイメージ。
そこは覆りはしないのだ。
(拙者はアリスとは違うでござるよ。 でも……)
服部あずみは、アリスの顔を思い浮かべる。
アリスならば、クマガイから何かしらの良点を見つけるだろうと思って。
(アリスは優しいでござるからな……)
あずみは、アリスの姿を想像する。
周囲には自分や瑠璃、泥島や穴倉。
そしてそこには、クマガイの姿もある。
いつかはそうなるだろうと考えるあずみだが、それは今見たい光景ではない。
服部あずみは割り切れていない。




