2142/2233
それがこれからの俺なのかもしれない
何だかんだと考える穴倉。
その視界に映るのは、何もない空間とクマガイ。
しかし、眼前の景色はすぐにかすんでぼやけて、塵と消えた。
気付くと、そこは森の中。
どこか分からぬ、森の中。
「生き返らせないと、俺が」
その言葉は、まるで強い決意を表明したかの様。
だが実際には違う。
この後に続く言葉がある。
「でないと、俺を保てない」
これは、弱さの吐露だ。
そして同時に、出直しの為の最初の一言でもある。
穴倉にあるのは、アリスを中心に据えた心だけ。
アリスに囚われている心だけ。
そこには自分というものがまるでなかった。
だが、そのまるでない自分を、保てそうにない現在。
「そんな俺は、もう俺じゃないけれど」
穴倉が、空虚な穴倉を保てなくなった時。
その時が今の穴倉羊透の終焉だ。
「それがこれからの俺なのかもしれない」




