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シンプルに強い

 デシネの、黒の、そんな様子を見たならば、優位に立っていると思い、ほくそ笑むのが普通だろう。

 もしくは、笑みを噛み殺すが、打倒の勢いは増すということもあるだろう。

 しかし実際には、クマガイは笑むこともなく、勢いが増すこともなかった。

 とはいえ、勢いが減ることもなく、(つば)()()いは依然としてクマガイがデシネを圧倒する。

 あまりに剛直、しかし押し切ろうとしないクマガイに隙はなく、黒の操縦者は精神的に疲弊し始める。


(馬鹿馬鹿しくなるほど、シンプルに強い……!)


 押し引き、(ひね)り、いなし。

 何をやろうとしても、今のクマガイには通用しない。

 黒の、デシネの動きにピタリとついて行くクマガイは、押されれば押し返し、引かれれば一気に押し込んだ。

 捻ってもいなしても、その動きに対応して、かつ、押して来る。


「強い、な……!」


 なればこそ、素直にクマガイの強さを認める発言をしてしまった。

 これは操縦者にとっては敗北宣言にも等しい心持ちで、内心、歯軋(はぎし)りした。

 いたずらに黒の操縦者の神経をすり減らすだけになっている鍔迫り合いはもはや戦いとすら言えない。

 ただの蹂躙だ。

 クマガイが言った。


「強いだけだよ」


 その言葉は、黒の操縦者を心底傷付けた。

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