2128/2233
クマガイの心
戦闘生物といえば穴倉だ。
戦いを欲し、それ以外の時はどこか空虚に生きる穴倉は、力の体現者として、ある意味で分かりやすい存在であった。
その気性は普段は平坦で、戦いの際の高揚とは落差が激しい。
そういった情緒が強者にはつきものだ。
ともすれば不安定と見られる様な情緒が。
それは現在のクマガイも例外ではない。
レベルが上がり、一見、静かに燃えるクマガイは、まるで泰然自若とした武人の様な印象さえある。
しかしそれは、黒の操縦者から見たクマガイの、表面上の印象にすぎない。
「殺す、絶対に殺す」
物騒な言葉を吐くクマガイ。
その目は鋭くつり上がり、上目遣いで黒の人型を見ている。
その心中には、どす黒い憎しみの感情が渦巻いている。
ただひたすらに、黒の人型を、そして操縦者を憎む感情が渦巻いている。
クマガイの胸を開き、そのどす黒い感情を見れば、誰もが背筋を凍らせるだろう。
それは穴倉や黒の操縦者でさえも、だ。
しかし、誰もクマガイの心など見られない。
誰もが無理解のまま、今がある。




