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目を離さない
「っ、ぐっ」
呻いたのはデシネ。
しかしその痛みは黒球、いや、その向こうにいる者がかんじている。
「……っ」
デシネの体がふらついた。
そして痛みに歪んだ顔。
クマガイの爪撃によって切り裂かれた胸部からは鮮血が滴る。
「……」
クマガイは無言で、少し前傾の姿勢になった。
構える爪はデシネの血で染まっている。
軽く振ると、付着していた血が取れた。
真剣な顔のクマガイは、一瞬たりともデシネから目を離さない。
「ちぃっ……!」
デシネに憑いている黒球の意識は、クマガイの隙のなさに舌打ちする。
何か仕掛けようにも、その前にクマガイが爪を振るう方が速い。




