俺を殺せ
「え?」
クマガイは驚きのあまり、開いた口が塞がらない。
アリスが何を言い出したのか、何をしようとしているのか、全く理解できず、ただ呆然とするのみ。
とはいえ、状況が逼迫していて、アリスがある種の覚悟のもと、何かをしようとしていることだけは分かった。
そして、それにクマガイも関わらなければならない、断れないことだろうと直感した。
『俺が頼みてぇことはよ、お前にとってはスカッとすることかもしれんわ』
笑い声混じりのアリスの念話。
とうとうと語りかけてきて、この空間のボスになると言い、クマガイがスカッとすることを頼むと言う。
クマガイの知るアリスならば、普段のアリスならば、声を荒げて強要してくるはずだ。
それをせず、どこか晴れやかな雰囲気。
クマガイは考えがまとまらないまま、しかし、何故か覚悟が決まった。
(何を言われても、やりとげるよ)
クマガイの決意が伝わったのだろう、アリスがニヤリと笑った。
いつも以上の尖った笑顔で。
『クマガイ、オメェには隠しステータスがあるわ。 前に魂相乗りした時に気付いたんだけどよぉ、オメェには、レベルが上がらねぇ様にロックがかかっとるわ。 でよぉ、経験値は溜まってる。 だからよ、今、Revolutionでオメェのステータスに干渉してよ、ロック解除したからよ、ここのボスを倒せ。 そしたらそれがきっかけで、これまで溜めた経験値が一気に作用して、オメェのレベルが爆発的に上がるはずだわ。 俺の計算では一気に83まで上がる。 だからよ……』
クマガイは、この先を聞きたくないと思った。
だが、アリスは真っ直ぐクマガイを見つめて、声に出した。
「クマガイ、俺を殺せ!!!」




