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悪童の殺人医師

ブレブロの大通りは舗装されていて、道の脇に露店が立ち並ぶ。

露店がひしめいてなお、馬車三台が悠々とすれ違えるだけの幅がある。

その一角に、街で噂の薬店がある。


しわのない白いスラックスに、上も襟なしの白い木綿のシャツ。

その上から白衣を羽織った、全身真っ白な総髪の男が、その薬店を、ちらりと一瞥する。


薬店の前には、奇抜な着物の男と、銀色の鎧を着たゴブリンが座っている。

男は、当初の予定である話し合いをせずに、気配を消して通り過ぎることにした。


奇抜な男は、一心不乱に串を焼いている。

腕を組み、目を瞑って座っているゴブリン、ゲブ・ズ・ガインは、どう見ても寝ている様だったが、いつの間にか白衣の男の背後に立っていた。


「まさか貴様と、こんなところで会うとはな。」

ガインの言葉に、全身白の男は嗤う。

「嫌味ったらしい聖騎士様だな。気配は消したっていうのにな。やっぱ合わないんだよ、俺たちは。ヴァリッジには悪いが、やっぱてめえとは話し合いなんて必要ねえ!」

「騎士狩りの殺人医師(メディスンマン)、己を殺すか?」

「その名で呼ぶんじゃねえ。浮かぶぞ、てめえ。」

「水死体になって浮かぶのは貴様だ。これまでの罪を懺悔しろ、殺人狂。」


ゴードンが口を開いた。

「ガイン、喧嘩はよそでやらなイカン…!俺が母ちゃんに怒られる…!」

強く頷くガイン。

「そうだ!己も怒られる!こっちだ、殺人医師( メディスンマン)!」

戦闘場所の移動理由に、ジャン・ジャックは本気で苛立った。

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