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何か決まったの?
穴倉の相づちには何の意図もない。
クマガイも意図がないと何となく察して、特に突っかかることなく受け流す。
そのままアリスたちに目を向けると、アリス、デシネ、イルマが話し込んでいて、どうやら何か意見がまとまったらしかった。
クマガイは、自分に出来ることはないだろうと思いつつも、アリスに現況だけは聞いてみることにした。
クマガイの傍らには穴倉がいて、あさっての方を向いて何かを見ている。
(何なんだよ、こいつ)
クマガイは、チラリと一瞬だけ穴倉を見てため息をついた。
どうやら穴倉は、この天使の空間を埋め尽くす煌めきを見ているらしかった。
脱出について議論しているアリスたちの中には加わらず、話にも興味がなさそうだ。
クマガイは、そんな穴倉と同じではいたくなかった。
だから現況を把握して、アリスたちの輪に加わりたくて、「何か決まったの? 今どういう話?」と訊ねた。
アリスはクマガイの考えなどいざ知らず。
しかし素直に答える。
「おぉ。 ちょっとやろうとしてることがあるわ」
続くデシネが「私と力を合わせて、ね」と言った。




