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上位の能力
穴倉の額から熱線が射出された。
しかし煌めく虚空の中に消える。
「うん、ダメみたい」
「せやな」
穴倉とアリスは、お互い当然といった顔で頷き合った。
そしてイルマを見る。
するとイルマは、落ち着いた口調で考えを述べた。
「今のは、あくまであなたの体内から放出されたものですから……」
なるほどだわ、と言いながら、腕組みしたアリスが何やら考え、穴倉がそれをぼんやりと眺めている。
何か思いつく度にアリスはイルマに聞くが、進展に繋がる案はない。
そのうち、デシネがぼそりと呟いた。
「外界と完全に遮断されている様ですね。 ゾミのいる空間と繋がらない」
その言葉を受けて、イルマが訊いた。
「あなたは空間移動魔法が出来るの?」
「……短距離ならば。 あとは、その場に作り出した亜空間へは移動出来るはずですが、今はどちらも出来ませんね。 アリス、あなたも黒炎が出せないのでしょう?」
「おぉ」
「それはこの天使の空間形成が、あなたの黒炎召喚よりも上位の能力だからでしょう」
「ほーん」




