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デシネの手

 アリスに素直に従う穴倉の腕から力が抜け、爪が引っ込んだ。

 目からは闘志が消えていて、眠そうにゆるんでいる。

 いきなり消えた緊張感に軽く面食らうクマガイだが、穴倉は直立姿勢のままぼんやり浮遊していて、明後日の方向を見ている。

 そんな穴倉をクマガイは警戒して観察するが、一触即発の雰囲気は吹っ飛んでしまっていた。

 お陰で、てっきり再戦かと思って緊張したクマガイの気持ちは不完全燃焼で、所在なげにそわそわするばかり。


(何なんだよ、気まぐればっかり起こしやがってさあ!)


 このクマガイの感情は、穴倉のみならず、アリスへのものでもある。

 いつもケンカっ早いアリスが、他者の戦いを仲裁するのは、理不尽だとさえ思ったクマガイは内心腐る。

 だが、その肩に、ポン、と何かが乗せられた。

 驚いたクマガイが見ると、それは手だった。

 手の主はデシネで、その顔は穏やか。

 その顔のまま、デシネはクマガイに語りかけて来た。


「ありがとうございます。 助かりました」


「い、いや、いいよ」


 珍しく他者に感謝されたクマガイの声が震える。

 気恥ずかしさで、デシネから視線を外すクマガイ。

 だが、悪い気はしない。


「何かあったら」


「はい?」


「穴倉と何かあったら、味方、するから……」


「はい……お願いします」

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