我慢するアリス
アリスとしては、穴倉の様子をイジりたいところではあったが、遊び心を振り切った。
苦悶の表情で心に誓うアリス。
(俺、生き残ったら、穴倉のことイジり倒すわ)
本来、アリスは好奇心旺盛で、面白そうなこと、物の変化に目がない。
何かを見つけたら即行動するフットワークの軽さがある。
逆に言うと、何かを見つけると、耐えることなく興味を注がずにはいられなかった。
当然、今の穴倉のことが気になって仕方がない。
何故ならば、記憶の中の穴倉と性格が、微妙に大きく違う。
違和感もあるが、今の穴倉には親しみやすさがある。
記憶の中での穴倉は、泥島と仲が良かったはず。
しかし今の穴倉は、アリスやクマガイと仲が良い様にアリスには見えた。
それがアリスは何だか嬉しい。
実際にはクマガイとは微妙な関係なのだが、そこまで読み取る程にはアリスは熟考しておらず、だからこそ、「俺ら結構仲良いわ」などと言いながら穴倉をイジりたいのだ。
しかし、今は我慢するつもりでいる。
穴倉イジりより、この天使の空間の解明が先だと考えているアリス。
目を瞑り、心を落ち着かせる。
そして開眼すると、その目には強い意志があった。
「まずはこの、天使が作った空間から早よ出たいわ」
そして口にしたのは当たり前の内容。
だが、気が散りがちなアリスにとって、今この思考にたどり着くのは、困難なことだった。
それを知ってか知らずか、穴倉も頷き、考え始める。
クマガイは二人の顔を交互に見やって、見よう見まねで、考えてるフリを始めた。




