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アリスたち、仕事する
「だりぃわ。朝から仕事とかだりぃわ。」
今、俺は待ち合わせ場所の、井戸の前に来てるわ。
まだ朝靄がかかってる早朝だっつーのによ。
やってられんわ。
薬草採集?
そんなもん飽きたわ。
やってられんわ。
「もう~、ぶつくさ言っても仕方ないでござるよ。地道に仕事するでござる。」
服部この野郎。
こいつの方が薬草に詳しくなっちゃったから、俺のやる気が湧かない感あるわ。
やってられんわ。
しかし、やっぱ年中ニンニン言ってた奴は違うわ。
薬草に対する情熱が全く違ったわ。
ちょっとハーブに興味ある程度の付け焼き刃の俺とは違って、子供の頃から何となく下地を作れていた服部は、まるでスポンジが水を吸う様に薬草の知識を吸収してったわ。
やっぱやってられんわ。
「トリカブトって、この世界にあるでござるかなあ?ほしいでござるなあ、トリカブト…。」
コイツ、誰かを毒殺するつもりだわ。
いちばん身近な奴逃げた方がいいわ。
…あ、いちばん身近な奴、俺だわ。
本当、やってられんわ。




