根本的に合わない
思惑ある吸血鬼たち、憎しみを秘めたジャン・ジャックもいれば、天使の魂に何ら思うところない穴倉もいる。
「ここから出られないのか?」
抑揚なく平坦な穴倉の声は、無感情も相まって、一層平坦な印象を纏う。
クマガイは、そんな穴倉に反感を覚える。
ついたり離れそうになったりと、安定しない二人の仲。
異常な状態に直面しても、穴倉は割と冷静というか、リラックスしている様にクマガイには見えた。
「焦ったりとか不安とか、お前にはないわけ?」
それはクマガイなりのコミュニケーション。
声には棘があり、とても好意的な絡みとは言えない。
だが、穴倉は特に気にした様子はなく、シンプルに答える。
「熱線砲が効かなかったら、焦ったりとか不安とか、俺にもあると思うよ」
クマガイの言葉を引用して答える穴倉。
そこに他意はないが、クマガイは、何だか軽く挑発されている様な気持ちになる。
だが、穴倉に悪気はない。
悪気はないが、配慮もゼロだ。
いらぬ争いを回避しようという思考が穴倉にはない。
苛立ちを覚えたクマガイは、「ふん」と鼻息吹きながら顔を逸らす。
「根本的に合わないんだよな」
そして吐き捨てた言葉には、拗ねた様な色があった。




