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ジャン・ジャックの憎しみ

 ジャン・ジャックは、考えごとをしているアリスを見つめる。

 すぐにアリスが何か思い付くかと思っていたが、何も発言ないまま時間がすぎて行く。

 思いのほか長考に入ったアリスを見つめていたジャン・ジャックだが、アリスが余りに集中している為、ふと視線を外した。

 すると、この天使の空間の煌めきが改めて目に入る。

 一般的な価値観の者がこの光景を見たら、感嘆必至だろうとジャン・ジャックは思った。

 だが、その美しさを素直に美しいと評する者はここには一人もいない。

 むしろ、憎悪の気持ちすら湧いている者がいる。

 無論、ジャン・ジャックだ。


(癪にさわる光だ)


 この場にいる誰もが、煌めく神聖光に思うところあるが、とりわけジャン・ジャックの嫌悪感は強い。


(これは、敵の輝きだ)


 ジャン・ジャックの目が、鋭く引き絞られた。

 煌めきの一つ一つ全てを忌まわしく思う目つきだ。

 かつてのジャン・ジャックの心は、孤独だった。

 だが、自分の存在を受け入れてくれる存在がいると知り、世界が違って見える様になった。

 アリスに救われたことで、心の角がとれた部分もあるジャン・ジャックだが、それは神殿と因果関係がないアリスに救われたからこその変化であり、一種の狂信に近い。

 自分を受け入れてくれた、生き返らせてくれたアリスと、その仲間への協力的な姿勢を確立したジャン・ジャック。

 だが、神殿勢力への憎悪は依然としてある。

 むしろ、天使と繋がる神官がいると知ったことで、神殿勢力に対する敵意と、神に対する疑念が、急激に増大し始めている。

 勿論(もちろん)、天使の魂を擁していた神官ミラーを生き返らせることは、到底承服出来るものではない。

 阻止出来るものならば阻止してやろうという敵意が、ジャン・ジャックの中で、刻一刻と育って行く。

 アリスがいる手前、憎しみを表面に出しはしないが。

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