まばゆい世界
天使の魂は、ガインの進撃に光を見た。
それは荒れ狂う暴風と唸る雷鳴の様な迫力をもって眼前に迫り、天使の魂を貫き、そして駆け抜け去った。
(!)
天使がハッと気付くと、ミラーの体が真っ二つにされていた。
体は倒れていて、天使の思う様に動かせない。
(負けたのか……)
しばし、思考が停止する天使。
空間が崩壊する前にアリスたちを倒したかった。
女神と等しくなったアリスは、何をしでかすか、本当に分からない。
誰彼構わず仲間に引き入れようとするアリスの性分は、魔人であればまだよかったが、女神ともなると、神を脅かす存在になるかもしれない。
故に、地上に帰還させたくはない。
しかし、空間が崩壊すれば、アリスたちは元の世界に帰還してしまう。
(神よ、申し訳ありません。 せめて、私が)
天使の魂がミラーの体から抜け出した。
この天使の魂には、余力が残っている。
ガインに倒されはしたが、魔力を全て使い切ったわけではない。
この空間から離脱するだけならば、まだ可能だ。
しかし。
『お前たちを、ここから出すわけにはいかない』
天使の魂は、悔恨の思いを抱きながら、アリスたちの脳内に直接叫ぶ。
『私自身がこの空間と同化する!!』
空間の崩壊が一瞬止まった。
そして光に満ちた、まばゆい世界へと変わる。




