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一族と共にあろう
フォンテスが言い出したことは、ともすれば卑劣といえる策謀である。
故に、吸血鬼らしくない、とシャノンは思った。
だが、らしくないからといって、シャノンは、これを拒絶する気はない。
(やはりフォンテス様は、我々吸血鬼にはない発想をする)
ほくそ笑むシャノン。
むしろフォンテスの発想を歓迎する気すらある。
(これが実現すれば、吸血鬼が世界を支配することも、或いは)
吸血鬼は、勇敢で正々堂々とした戦いを信条とする種族。
それ以外の発想を持ち合わせる者など、シャノンの知る限り、フォンテス以外には見当たらない。
(侵攻の準備も整えなくてはならないわね。 全く、一族を離れようだなんて思った自分が信じられないわ)
シャノンの心は再び固まり始めている。
一族と共にあろう、フォンテスと共にあろう、と。




