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長老スライムは考える
我らスライムは引き返しておる。
クイーンと仰ぐルリ様が突然飛翔し、我らを置いてガムドムルァへと行ってしまわれたからじゃ。
ルリ様は我らをいとも簡単に完封する強きお方。
そのお方がその後、凄まじいジグザグ飛行をしながら、元来た方向へ戻って行ったのを皆で見た。
あれはきっと、あの透明の魔物と空中戦を行っていたに違いないのじゃ。
ならば我らのすべきことは、ルリ様の領土の防衛の為、あの地の者共と協力することじゃ。
しかし、引き返すのは、なかなかに骨が折れるわい。
ルリ様は、体内の水を我らに下さりながら、最短距離でガムドムルァを目指しておった。
しかし、我らは水源なくしては、長い距離を移動することなど出来ぬ。
よって、川沿いの大移動と相成ったのじゃ。
そうして数日が経ったが、いまだルリ様の領土へは辿り着いておらぬ。
何故かじゃと?
わからぬのか?
何という阿呆じゃ。
よかろう、教えてやろう。
儂らは、ルリ様の領土の場所など、覚えてなどおらぬ。
そうじゃよ、儂らは迷子なのじゃ。




