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消える黒球
ガインの返答は、黒球が想定していなかったものだった。
強大な力を持つ黒球だが、その存在はあまりに稀薄で曖昧なものだ。
「……!」
曖昧だからこそ、黒球は誰の心にも入って行けたが、明確に拒絶され、この世界との繋がりが切れてしまった。
「……!」
必死にガインを繋ぎ止めようとする黒球。
その言説に、ガインは頷く。
だが、繋がろうとはしない。
「……!」
ガインが何故繋がろうとしないのかを問う黒球。
しかしガインは更に何かを言おうとはしない。
「……! ……。 ……」
次第に黒球の声が途切れ途切れとなり、最後には消えた。




