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熱線砲、破れたり
穴倉の額から、細く絞られた熱線が放たれる。
胸部熱線砲の様な大出力ではない。
だが、貫通力は変わらない。
殺傷においては、胸部熱線砲に何ら劣るものではない。
細く絞られた分、熱線が持続するのだ。
小さな声で穴倉が呟く。
「くらえ」
言葉は、女に対するもの。
だが、穴倉の声が小さく、女はもちろん、誰の耳にも届かない。
熱線は女に向かって伸び、そして見えない壁に到達した。
「!?」
誰もが、一瞬息を飲んだ。
熱線は数センチ押し戻されて、数センチ押し返す。
これを繰り返している。
「……ッ!」
穴倉の首振りで、熱線が動いた。
しかし状況は変わらない。
そうこうしているうちに、熱線が消えた。




