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クマガイのやせ我慢
「やってくれたなコノヤロー!」
クマガイは穴倉に向かって毒づく。
そこにあるのは闘志と激情。
かつての様な卑屈さはかんじられず、穴倉は目を丸くする。
「驚いたな。 ちょっと痛みを与えれば、ビビって謝ると思ったのに」
「ナメてるなあ、俺を!」
異形の穴倉に対して退かないクマガイ。
本当は体中の痛みに叫び回りたい。
泣きわめきたい。
しかし、それはしたくない。
(何か穴倉にはナメられたくない!)
クマガイは穴倉の触手を見る。
その切り口からは血が滴り落ちている。
顔を見ると無表情。
まるで痛みなど平気な様に見える。
(あいつは痛いみたいな顔もしない! だから俺も痛いとかない! 痛ったいとは言ったけど、もう平気みたいな顔してやる!)
クマガイは傷の痛みを我慢し、何事もなかったかの様に真顔になる。
「爆発なんか仕込んでやがったのかよ! ほんと自爆が好きだな、お前!」
「好きでやってるんじゃないけど」
「そうか……よッ!」
クマガイが穴倉に向かって、一直線に突撃する。




