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俺の盾を超えてみろ
「っ……!」
痛みに一瞬顔を歪める穴倉。
触手は穴倉の体の一部であり、痛覚が存在する。
次々に切り落とされてゆく触手。
だが、切られたそばから再生し、触手の盾の後ろに改めて束ねられる。
そして硬質化。
再生可能な限り、盾は無限に作り出されるのだ。
しかも、穴倉は罠を仕掛けていた。
何も知らず、回転を増すクマガイ。
「俺のバズソーの方が強いんだよ!」
何気なく言った一言。
だが、クマガイの心理が現れている。
力を誇示したいという心理が。
クマガイは、激しく回転しながら地上のアリスを見る。
(見てる、よな?)
戦闘生物である穴倉に勝てば、アリスに今よりもっと認められるかもしれない。
そうすれば何かがもっと変わる様な気がした。
対する穴倉は、力を誇示したいわけではない。
ただ、クマガイとの戦いにおいて退く気はない。
クマガイの叫びに返答する穴倉の語気が、少し強くなる。
「そうかな? なら俺の盾を超えてみろ……っ!」




