2015/2233
クマガイの表明
だが、クマガイ、穴倉両人に、そこまでの気持ちがあるかというと微妙だ。
二人は、アリスを介しての関係性しか築いていない。
それ以上でもそれ以下でもない。
だから穴倉は。
「お前は危険だと思うことがあるよ」
クマガイへの敵意が、何かのはずみにわき出す。
そして敵意を向けられたら、クマガイも激情が心の中でうねる。
「俺の何を知ってるんだよ」
敵意で応えてしまう。
こうなると一触即発だ。
「知らないな」
「そうだろ? 俺たちは他人なんだよ」
「人ではないよ」
「……言葉のあやだろ! そういうのがさあ、ムカつくんだよ! この気持ちはさ! たぶん! 俺の気持ちだよ!」
そして表明するのは、自分の意思。
しかしクマガイには、黒球の残滓が宿っている。




