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穴倉羊透という魔物
化け物になったあの日、会った有栖川は少女になっていた。
穴倉はよくわからない魔物で、有栖川は少女。
有栖川は穴倉を見た瞬間、何それキッショ、と言った。
穴倉はこれで、先入観を抱いた。
自分の様な、奇妙な魔物になった友人は、多分いないのだろう、と。
だから、親友とされている泥島に会いづらかった。
目の奥に、ひとかけらでも怯えの色があったらと思うと、気軽に会うことが躊躇われた。
だから、自分から遠ざかろうとした。
『強くなれば、進化して別の魔物になれますよー。』
「人間にはなれないのか?」
『姿かたちが人間っぽい魔物なら、ありますよー。』
女神の言葉に、希望を抱くことが出来た。
目指すは、強くなって人間種になることだ。
だが、会ってみると、泥島も魔物になっていた。
正直、安堵したが、そんな自分に失望した。
親友とされる相手の変わり果てた姿を見て安堵する、性根が腐っている自分、目的を投げ捨てようと思い始めている自分に失望した。
こんな自分では、一緒にはいられないと思った。




