2009/2233
激突する黒と白銀
空中で対峙する二人。
無言のまま、デシネが仕掛ける。
手刀をかざして間合いに入り、暗黒の斬撃を繰り出す。
一撃、二撃、三撃と乱れ打つが、ゾミには当たらない。
不意に、ゾミも反撃を繰り出す。
「デシネ様、あなたの動きは見えていますよ!」
「確かに、私の動きが見えている。 あなたの方が強い様ですね」
ようやく口を開いたデシネが言ったのは、敗北宣言とも受け取れる言葉だった。
拍子抜けしたゾミは、デシネの手刀を拳で迎撃する。
「やはり! ぶつかっても斬られないか!」
黒い気に包まれているデシネの手刀と、白銀の気に包まれているゾミの拳の激突は、お互いにダメージを負うことはなかった。
とはいえ、研ぎ澄まされた斬の気が、雑に纏っただけの拳の気を斬り裂けないのは、デシネにゾミとの力の差をかんじさせた。
「……」
再び黙るデシネ。
それを見上げるアリス。




