2008/2233
混ざる黒と黒の残滓
その瞬間、頭に流れ込んで来る、ノイズ混じりの音声。
(これが例の)
ゾミは認識する。
自分の体内で蠢く闇の存在を。
先刻までこの場にいた、異界からの来訪者の存在を。
(これが例の邪神か)
体に力が溢れる。
不思議と恐怖はかんじない。
ゾミは吹っ飛んだアリスから視線を外し、デシネと向かい合う。
そして明確に宣戦布告の言葉を吐いた。
「決着を着けましょう、司祭様」
「……」
デシネは答えない。
だが、やることは一つだ。
デシネの全身から、黒い気が漏れ始める。
それはゾミの白銀の気に混じった黒い気と同一のもの。
邪神の残滓である。
「……」
デシネはなおも口を開かない。
手刀をかざしてゾミを見据える。




