2007/2233
白銀に混じる黒
「ほんなら、お前を倒せば、俺はもっと強くなれるってことだわな」
アリスは硬く拳を握り、目を大きく開きながら言い放つ。
爛々と輝く目。
「シンプルにそゆことだろ? テメェここでくたばれや」
より強い力を求め、目の前のゾミを獲物として認識したアリスが突撃する。
その速度に驚くゾミ。
(速い!)
だが、真正面からの突撃だ。
しかも大振りで繰り出される拳撃は、その軌道が読みやすい。
白銀の気に包まれたゾミのカウンターの拳がアリスの顔面に炸裂する。
「!?」
アリスの突撃を腕一本拳一つで迎撃したゾミは、この一撃で自分の腕が粉々に砕け散るものと思ったが、そうはならなかった。
適度な手応えがあり、思い切り殴り抜けると、アリスが地に向かって吹っ飛んで行った。
「ぐぉッ、痛ってぇーッ!」
絶叫するアリスの声が遠ざかり、遥か下方で地が爆裂し轟音が鳴り響いた。
自分の力に戸惑い、拳を見るゾミ。
白銀の気に混じって、黒い粉の様な気が微かに舞った。




