世界の理(ことわり)を
ゾミはデシネを恩人だと思い、ついてきた。
病から救ってくれたのもデシネに追従した理由だが、ゾミの為に奔走してくれた両親に応えて来てくれたことが大きかった。
両親思いのゾミにとっては、これが何よりも嬉しく、子ども心に、信用出来る大人に思えたのであった。
ゾミにとって信用出来る大人であるデシネは、邪神の力を持つと言う。
邪神の力は禁忌の力。
だが、ゾミの病を抑え、救ってくれた力。
両親が奔走し見つけて来てくれた味方。
よって、拒絶する道理など何一つなかった。
すると同時に、一つの思いがゾミの心を支配する様になった。
神、許すまじ、と。
本来、ゾミは天使だ。
神の使徒だ。
だが、その神の使徒となる為に、生命の危機となり、両親がゾミを生かそうと奔走した。
ゾミにとって、神は、自分と家族を害するものにしか思えなかった。
邪神であるデシネが救ってくれたのも相まって、ゾミは、神を信じないどころか、デシネと共に神を倒すと誓い、配下となった。
そして、表向きは神の軍勢に加わり、内部を探った。
次第にゾミは、この世界の理解を深め、世界のかたちと、真理を知ることとなった。
「天使を、そして神を倒せば、貴様らは世界の理をねじ曲げ、自分を進化させることが出来る」
ゾミはデシネとアリスをまとめて、自分と対峙する者とした。
その言葉に、デシネの眼光が鋭くなる。
そしてアリスが歯をむき出しにする。




