2002/2233
邪魔
その数瞬、どこか緩んだ空気があったのか。
ゾミがデシネに向かって後ろ蹴りを繰り出した。
咄嗟に防御したデシネ。
蹴りが当たったのは、腕の傷口近くではあったものの、直接ではなかった。
「っ……!」
お陰で、痛みに顔を歪めはしたが、大したダメージを負うまでには至らなかった。
すぐに追撃に入ろうとしたゾミだが、ハッとして、顔の前で腕を交差して防御の体勢を取る。
するとアリスの蹴りが飛んできた。
強い衝撃を受けて吹っ飛ぶゾミ。
デシネと同じ様に、痛みに顔を歪めて、小さな声で呟いた。
「ちっ、邪魔だ」
「そりゃあこっちのセリフだわ」
言葉を返したアリスは、顎を上げ、角度をつけてゾミを見下ろす。
そして腕をグルグル回しながら、吐き捨てる様に言う。
「オメェ、何でまだ俺らに楯突いてやがんだよ? あぁ?」
言葉を受けて、ゾミの顔が、痛みに歪む顔とはまた違う、険しい表情となった。




