俺たちの転生
というワケで、俺、有栖川諭は、森の中にいたわ。
転生って言うから、てっきり赤ん坊から始まるかと思ってたが、何のことはない、10代半ばぐらいの姿で拍子抜けだわ。ステータスウィンドウ的なアレに表示されてる俺は、長いプラチナブロンドの金髪に大きな赤い目、しなやかに伸びた手足は雪の様に白く、あどけなさと妖しい妖艶さが両立した奇跡の美貌は100点満点だわ。これは女神、いい仕事したわ。
ただし問題がひとつあるわ。俺は、血の涙を流したわ。
「ち●こが……、俺のち●こがないわ……!」
……っていうか俺少女!少女になっとるわ!服も何かちょっとゴス入った可愛いのになっとるわ!でも色は水色!若干、子供っぽい気もするけど、俺の可愛さならアリっちゃアリだわ!
しかしながら、性転換はちょっと勘弁してほしいわ!何たらデラックスとか、何たらマングローブとかと同系列になるとか、まじでないわ!いや、あいつらはち●こついとるわ……!俺とは似て非なる人種だったわ……!
……でも俺、ほんと可愛いわ。源氏名アリスちゃん、コレまんざらでもないわ。って、流されたらダメだわ!
「ないわー」
……落ち着いたわ。頭冷やせたわ。そう、すぐ落ち着けるところが俺のいいところだわ。
大金持ちの有栖川家の長男で、容姿端麗で女にも不自由せず、しかも文武両道。某ネコ型ロボットが活躍するアレに出て来るス●夫とジャ●アンと出●杉くんをかけた様な無敵ポテンシャルながら性格は気さくという、まさに天衣無縫、しかしながら左脇だけ軽度のワキガという、素敵なチャームポイントまで持つ可愛げもある最高の男、それが俺、有栖川諭様だわ。
そんな俺が、いきなり謎の金髪美少女になっとるわ!
女神様!女神様!応答して下さい女神様!
『はいはーい、こちら女神カプリスちゃんですよー。 どうしましたー?』
「うわびっくりした! ないわー。 いやあの、何で俺、女の子なんすかね?」
『名字アリスガワじゃん。 だからアリス側のキャラに転生させたかったんだけど、私、ルイス・キャ●ルの原作小説のアリスの内容知らないから、アリス側ってわかんない☆ だから辛うじて見た目ぐらいは知ってるアリスにしたよ超テキトー☆ お陰であなたは、アンデッドを使役する不老にして屈強な魔人、美少女アリスちゃんになりました☆ 原作小説のアリス側じゃない、よくわからない有栖川……なんちゃって☆』
「やかましいわ!」
もぉぉぉぉ、まじで源氏名アリスちゃんになったわぁぁぁぁ!
『ねぇねぇ、左脇匂ってみて☆』
ん?クンクン。
『ほんのりワキガのまんまだよっ☆』
……こいつ、俺の生まれながらの呪われたパッシブスキル・ほんのりワキガをネタにしやがったわ。
おいクソ女神!お前がどこにいようと俺が必ず追い詰めて、この脇のニオイを嗅がせて泣かすからな!つーか殺す!