表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1993/2233

だから俺は、どこまでも変わっていくよ

 穴倉は、鮮血したたる翼から目が離せなくなった。

 これまで穴倉は、様々な敵を食って強くなってきた。

 戦闘生物として生まれた以上、それが当たり前だと思っていて、敵を食うことに葛藤はなかった。

 今だってそうだ。

 誰かを食らうことを当たり前のことだと思う。

 他者から見た場合、それが異常なことだというのも理解しているが、アリスの言動によって、もう一切の抵抗がない。


「ふふふ」


 笑う穴倉は思い出す。

 穴倉がプレの腕を食った時のことを、だ。


(アリスは、天使を食った俺を否定しなかった)


 その後アリスは、身勝手とも思える程、気軽に穴倉に命をかけさせた。

 そして穴倉はすんなり従い、自爆によって敵を殲滅したのだ。

 甦ることが出来る保証があるとはいえ、死と向き合うのは本来ならば苦痛が伴う。

 だが、そんなことが些事(さじ)にかんじる程、穴倉はアリスからの依頼に高揚した。


「あいつと俺の関係は何も変わらない、俺がどうなろうとも」


 造られた記憶とはいえ、穴倉が(すが)ることが出来るのは、いつもアリスの存在。

 だからこそ、何者にでも変わって行ける。

 そして、どこまでも強くなりたいと、穴倉は思った。

 今の穴倉は、戦闘生物としての自分を空虚に見つめるのではなく、受け入れて、誇りすら持ち始めている。


「だから俺は、どこまでも変わっていくよ」


 尻尾を伸ばし、銀の翼に巻きつける穴倉。

 そして持ち上げると、頭の口が大きく割れて、そこに翼を放り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ