1990/2233
炎と風
しかし、ゾミは落下せず、空中に留まったまま。
片翼が羽ばたき、またも衝撃波が放たれた。
アリスは手を水平に払い、炎を発して衝撃波にぶつけた。
ゾミの衝撃波とアリスの炎が激突し、炎がかき消された。
……かに見えた。
「!?」
驚き顔のゾミ。
衝撃波もかき消えたのだ。
「今の一撃を防ぐか」
炎と衝撃波が消えたあとに、緑の輝きがかすかに見えた。
それは、クマガイの放つ風の残滓である。
「そういうことか」
「そういうことなんだわ」
アリスの背後に張り付くクマガイの存在を認識し、真剣な顔になるゾミ。
「貴様らは常に炎と風を合わせた技で私に向かって来るつもりか」
「さぁ? 俺に聞かれても、何とも言えねぇわ」
睨み合うゾミとアリス。
ゾミの背後には、両手に鋭利な気を纏ったデシネがいる。
「……」




