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お前、何なん?
暗く寒いところから、暖かな場所に引き上げられた様な心地よさに、デシネは目を開ける。
目に入ったのは、アリスの靴。
底が厚く、とても走るのに適している様には見えない。
だがアリスはこの靴で爆走し、俊敏な動きを見せる。
デシネは、邪神となっていた時の、尋常ならざる意識の中で見たアリスをぼんやり思い出していた。
そして、不意にハッとして見上げる。
するとそこには、覗き込むアリスの顔があった。
「よぅ、おはようさん」
「……はい」
ただこれだけのやりとり。
しかしデシネは分かってしまった。
自分が死に、アリスに甦らせられたことを。
アリスはデシネを見下ろしながら、口をへの字に結び、鼻息荒く呼吸している。
デシネにとってはよく分からない状況だが、構わずアリスに単刀直入に問う。
「何故、私を甦らせたのですか」
「話聞かせてくれや。 お前、何なん?」




