俺って何なんだ
(何か、裏切られた気持ちだよ……)
クマガイの頭の中、そして胸の内に風が吹く。
だがその風はねっとりとした熱風で、涼やかさは微塵もない。
足はしっかりと地についていて、微動だにしていないが、クマガイの感覚ではガクガクと震えている。
体の状態を誤認するほどに、急激に心が削られてしまったクマガイは、目を伏せたまま、しばらくぼんやり考えていた。
(俺たちは元から人間じゃなくて、化け物で。 それをこいつらは知っていて、俺は知らなかった)
クマガイの心は今、寂寥感と孤独感に支配されている。
アリスや穴倉と、にわかに仲良くなれた気がしていたが、そうではなかったのだと思わされたクマガイ。
その気持ちは、これ以上ない程に複雑で、クマガイから気力を根こそぎ奪い去った。
(俺って何なんだ……)
どんよりした靄がかかった様に、頭と胸が重くなる。
何か考えようとすると、クマガイの脳裏によぎるのは、造られた前世の記憶。
(この記憶が嘘ってことだよな……。 じゃあさ……)
「俺たちの関係性も、嘘の上に成り立ってたってことなのかよ……?」
クマガイが俯き、瞳が潤む。
そして。
「お前らにとって、俺って何なんだ」
涙がぽたりと落ちた。




