1935/2233
宙に浮いた話の再開
眼前にはアリスと穴倉がいる。
そしてどうにも敵対の雰囲気。
「あばばばば」
正気のクマガイ。
急速に闘志が萎えて行くが、しかし、混濁した意識の中でも、アリスたちと対峙していたのは記憶にある。
しかも、自分の意思でそうしていた様にかんじて、クマガイは愕然として、頭を抱えてしまう。
「俺は何をやってたんだよ、一体……」
クマガイには、黒球の欠片に精神を侵食されていたという意識がなくなっている。
故に、自らの意思で反逆者となっていたという気持ちしかなく、困惑の真っ只中にいるのだ。
そんなクマガイの様子を見るアリスは、詳しくは分からないながら、どうやらクマガイが元のノリに切り替わったことは察知する。
「おめぇマジで何やってんだよ、マジで」
「えっ、いや、ごめん」
謝るクマガイ。
だがクマガイには、釈然としない気持ちが残る。
クマガイは黒球から知らされた情報によって、自分やアリスたちが何者なのか知っていて、そしてどうやらアリスたちも、無知ではない。
戦いによって宙に浮いたままの話を再開すべく、クマガイは口を開いた。




