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その針、ほしい
穴倉は、輝きを秘めた目でクマガイを見る。
その視線に殺気は含まれていない。
あるのは好奇心である。
「クマガイ」
そしてその名を呼んだ。
穴倉は、黒球の欠片と溶け合うクマガイの変化に、興味がわいてしまっている。
熱に浮かされた様に、もう一度クマガイの名を呼ぶ穴倉。
「なあ、クマガイ」
「……」
だが、クマガイは答えず、アリスを睨み続けている。
そこには、黒球の欠片の影響も大いに含まれているが、穴倉の思考はそこまで及んでいない。
「そうか、無視か」
抑揚なく発した言葉には、特に感情はこもっていない。
穴倉は、アリスとの関係性を重視していて、そこに入ってきたクマガイのことは少なからず意識しているが、クマガイを単体で見た時には、特別な思い入れは何もない。
故に、クマガイと戦うことに葛藤などない。
そして。
「面白そうだな、その針。 俺もほしい」
クマガイの変化に興味を持ち始めている。




