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アリスを睨むクマガイ
クマガイに黒球の欠片が混じり、黒球の欠片にクマガイが混じって、双方の意識が錯綜し始めている。
そしてクマガイは、認識していたはずの真実を、誤認識して行く。
(いつだって俺は、有栖川に)
先刻まで、自分たちが造られた存在だという認識を持っていたクマガイ。
だがそれが崩れて行く。
(有栖川に踏みつけられて来た)
すると記憶は改変され、かつてのクマガイの意識へと還ってしまう。
(俺は有栖川が憎い)
目をつり上げ、アリスを睨むクマガイの目は怨念を宿し、殺意へと変貌する。
すると全身の体毛が禍々しく尖り、まるでハリネズミの様に、あからさまに硬質化する。
その姿は、今までよりも戦いに適したものなのだろうと、場にいる誰もが警戒し、対峙している。
だが、その中で、穴倉だけが、違う気持ちを持っていた。




