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この人何でキレてんの!?
「あっぶねっ!」
必死の形相で身をよじるクマガイ。
その鼻っ面をアリスの拳がかすめた。
「うぉぉっ……!」
間一髪かわしたクマガイ。
体毛が焦げる匂いがし、戦慄で鳥肌が立った。
クマガイは直ぐ様、風を噴射し、異常な速さで距離を取る。
だがアリスは、その速度に難なくついてきた。
「逃げんなよコラァ!」
そして大きく振りかぶって、再度の拳を繰り出す。
そのモーションはとてつもなく大きいが、動きは信じられない程に速い。
「……っ!」
クマガイは顔を歪め、またも間一髪でかわす。
するとアリスが怒りの形相で叫んだ。
「クマガイてめぇボケ!」
「!?」
こうなると、クマガイは雰囲気に飲まれてしまい、困惑の表情で逃げ惑う。
そこにアリスはやはりついてくる。
「てめぇクマガイ止まれコラァ! あっコラァ!」
(この人何でキレてんの!?)
戸惑うクマガイ。
先程までの、黒球混じりの戦闘的な性格のクマガイは鳴りを潜め、素に戻ってしまっている。
アリスは、そんなクマガイに対して、理不尽に怒り狂い、追走しては、三度、炎の拳を振るう。




