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スライムだって折れる時はある
どれほど飛んだのか、どう飛んだのか、私にはわからない。
小さく縮んだまま、水を噴射して、出来るだけ速く、出来るだけジグザグに、出来るだけ無軌道に。
でもギルバーティのいない方向に。
そうやって逃げたのに、気が付けば私は元いたゲバザの森に帰って来ていて、ずっとひょうたん泉に浮いていた。
物凄く沢山の水を撒き散らしたし、ヘトヘトになって飛んでいたつもりだったけど、放出した水は総量からすると大した量じゃなかったし、全然ヘトヘトでもなくて、この総量と体力なら、あんな奴は倒せたんじゃないかな、みたいな気持ちにもなった。
けど、何日泉に浮いていても、心の何かが砕かれたままの実感があって、あぁ、私は気持ちが負けたんだなぁ、と思った。
森の動物たちは何も聞かずにいてくれたけど、いつもの私じゃないとは感じているらしく、それが輪をかけて、私をそっとしておこう、という空気となって、逆に私の心に突き刺さってくる。
力がほしいと思った。




