歪みの種
「どういうこと!?あんた鳥になってる!」
そっちこそ、どういうことですか。
何で空を飛んでるんです?
私は鳥の体を乗っ取ったから、こうなっているんですけど、何でスライムが空を?
「よかった!高木生きてたのね!」
「…ええ、まあ。」
私は、鑑定で池中さんを見てみました
。
LV4。
結構頑張った方でしょうか?
まあ、どうでもいいことです。
…それより、有栖川くんは、私がいなくなったこと、どう思っているんでしょうか。
私のこと、少しは心配してくれたんでしょうか。
有栖川くんには会いたいです。
いつも、私なんかにも優しくしてくれて。
私が生きているってことを知らせたいです。
喜んでくれるでしょうか?
「アリスたちに教えてあげたいわ!あんた会って来なさいよ!」
「…会いたいですね。有栖川くんたち、どこにいるんですか?」
服部さんや泥島くんはどうでもいいんですけどね。
私に優しいのは、有栖川くんだけですから。
「ごめん、そういえば知らないわ。」
ほらね。
こうやって意地悪して、色々隠すんですよね。
池中さんは、いつも私に色々隠しますよね。
だけど、有栖川くんが教えてくれて、仲間に入れようとしてくれる。
だから、有栖川くん抜きだと、私は蚊帳の外。
「…チッ。」
池中さんには、いつもイライラします。
教えてくれないなら、自分で探すまでです。
とりあえずは、情報収集の為に、街へ戻ることにしましょう。
「高木、どこへ行くの?」
「…今から帰るところですよ。私、飼われてるんで。」
どちらかというと、私が飼ってる側ですけどね。
「地理、わかるの!?」
「…まあ、この国と隣の国の地理ぐらいなら。」
「ガムドムルァの森って場所、わかる?」
「…ガムドムルァの森ですか?なら、あの山の麓のあれですよ。」
「ありがと!」
池中さんは、私が教えた森に向かって飛んで行きました。
ガムドムルァの森?
それがあるのは隣の国です。
こんな近くにあるはずないじゃないですか。
私の方が先に有栖川くんを好きになったのに、後から好きになった池中さんが、有栖川くんと何回もデートをしてたの、知ってるんですよ?
付き合ってるんでしょ?
どうせ、今日もデートなんでしょ?
有栖川くんは、ガムドムルァにいるんでしょ?
私が代わりに行ってあげます。
そして、池中さんが別れるって言ってた、って言ってあげますよ。
私の邪魔して、後から来た池中さんが、有栖川くんを盗ったのが悪いんです。
だから、ンカフ辺りで迷ってて下さい。
有栖川くんに会えるの、楽しみです。
ウフフフフフフフフフフフ。




