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死闘

木漏れ日が気持ちいい昼下がり。


ウサギが現れたわ。


どう見ても、ただのウサギだわ。


一応、ステータスを確認してみるわ。うん、何の変哲もないウサギだわ。


俺的には、アリスとウサギだわ。


「みんな!行くわよ!」

池中が初戦闘にやる気だわ。こいつやけに颯爽としてるわ。


「スライムのレア上位種たる、レインボースライムの力、思い知るがいいわ!」

あ、調子乗ってるわ。でも気持ちは分からんでもないわ。昨夜、俺が鑑定で池中のステータスを隅から隅まで見てやったら、レインボースライムはレア上位種で、あるレベルからは爆発的にステータスが向上する、ってことが分かったんだわ。俺としても、大いに期待してるわ。


こいつが俺に、「自分のステータスだけ怖くて見れないの」って言い出してしょぼくれてた時は、見た目スライムとはいえ、女の部分感じてキュンとしてしまったわ。みんな寝静まった後で誰も見てないから、池中を首に巻いて撫でてやりながら、俺がステータス見てやってたわ。スライムのくせにいい匂いしやがって、正直ちょっとムラムラしたわ。


「御意!」「おう!」「わ、分かりました!」

あ、バカ共も初戦闘にやる気だわ。


「……」

あ、ウサギは気にもしてないわ。


「作戦を説明するわ!まず服部は影化!対象の体の周囲を包む様に展開!そして実体化して足を捕らえる!」


「御意にござる!」


「移動速度が遅い私は、前進しながらスリング化!泥島、高木の両名を掴んで対象に投げる移動砲台役よ!ふたりとも、私の周囲に来なさい!」


「おう!」「はい!」


「泥島は目潰し役!着弾したら目を覆って!」


「おう!」


「高木は噛み付き役!確実にダメージを与える為に、首を狙って!」


「はい!」


「そして私が間合いを詰め切ったら、奴の鼻と口を塞いで溺死させるわ!その時、泥島、高木両名は対象の腹部に突撃!息を吐かせて溺死を早めさせて!倒したら、有栖川が火魔法で焼いて美味しくいただくわよ!申し訳ないけど、この戦闘で有栖川の出番はないわ!何故って?私たちだけで勝てる完璧な作戦だからよ!GO!」


作戦はちゃんとしてるわ。さすが池中だわ。


「行くでござるよ!闇を纏い!闇に生き!研ぎ澄ませし拙者の影化の術!ウサギなんぞに破る術なし!」

服部が影化して地面に展開する。そして足を掴もうと実体化した瞬間、ウサギの重みでやられたァァァ!


「重い重い重い重い重げぶォ!」

───服部あずみ、死亡!


「よくも服部を!だがお前は終わりだ!」

スリング池中によって投擲され、一直線にウサギに迫る泥島!


「お前は俺によって視界を失」ベチャ。

───泥島保典、死亡!



「え、えっと、あの…。」

高木は飛距離が足りずに、ウサギの目の前にコロン。しゃくしゃく食われ出したわ!


「ギャアァァァァァ、ですよねェェェェ!」

───高木亜実、死亡!


「おのれ忌々しいウサギめ!しかし取り付いたわ!窒息しなさい!服部、泥島、高木!あんたたちの死は、無駄にはしないわ!」

口と鼻を塞がれたウサギが可愛くプルプルと首を振ると、池中が飛散!


「何……だと……!しかし私は…スライム!何度でも体組織を再結合させることが出来……ない!そういえば、そんなスキルは…ない!いや待つのよ私!私の立ち位置は明らかにヒロイン!これしきのことでやられはせんぞ、やられはせ……」

───池中瑠璃、死亡!


「ないわー」




日が暮れ始めていた。夕陽が目に染みる。リザレクトで悲しきバカ共を蘇生させた俺は、さめざめと泣く奴らに向かって優しく言ってやった。


「俺が頑張るからよ……。お前ら、もう、泣くなよ……」


奴らは、声を上げて泣いた。

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