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何の話かわからない
「なるほど、言いたいことはわかった。つまり、超人勇者が闇に堕ちた可能性があると?」
ギルド長タシリモはソファーに体を沈め、天井を仰いだ。向かいに座るヴァリッジが頷く。
「首なし蛇竜の死体があってな、血を吸われて干からびてた。魔物という線もあるが。この辺に血を吸う魔物なんているのか?」
「むう…。」
「心当たりが?」
「…なくはない。」
「聞かせろ。」
ヴァリッジの眼光が鋭くなる。タシリモは大きく息を吸い、吐く。
「一週間前、魔王の配下を名乗る一団が現れた。中には真祖と見られるヴァンパイアも混ざっていた様だ。」
「何っ!?この街にか!?待て、聞いてないぞ!それにしては平和に見え…!」
「まあ聞け。それを観光で来ていたメイド姿の少女と、影ぼうしが撃退した。少女は現在、この街に居着いてしまい、薬店の看板娘となりつつある。午前中に行けば会えるぞ。ただし接客はしない。影ぼうしは清掃業者に今日面接に向かうとか。」
「…は?一体何の話だ?」
「だから、魔王の配下を撃退した者たちの話だ。」




