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親の顔が見てみたい
最初はいがみ合ったが、完食した俺たちには、友情が生まれていた。
「私はユウ。ユウ・ジョルカル・ランダルム・ジダールだ。」
「俺はアリス。アリス・ノーブル・エヴィエニスだわ。」
ガッチリと握手したユウと俺は真っ直ぐお互いを見つめる。そして、どちらからともなく微笑み合う。
「アリス、貴様とは、よい強敵となれそうだ。」
「あぁ。お前と俺とは、同じ煮込みを愛した強敵だわ。」
「礼は言わん、ご主人、さらばだ。また会おう、強敵よ。」
去って行くユウの背中には、満足感が透けて見えた。人指し指と中指を揃え、ビッ、と振るユウ。
俺は目を閉じ、口元に笑みを浮かべながら、奴の背中に親指を立てた。
俺たちは体は女だが、心には漢の風が吹いていた。俺たちには漢の唄があった。さらば強敵よ!
ゴードンさんが呟く。
「礼は言わなイカン…!」
ほんとだわ!あいつの親の顔が見てみたいわ!
 




