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あれが我が主、我が魔王では?
ビクトーは困惑していた。
メ、フォンテス、マシアス、イゴール、シャノン、アランと、着々と幹部を増やし、復活した魔王を迎える準備を整えてきた。そして狼煙をあげようとした種火の段階で、メは殺され、フォンテスは鼻歌混じりでグロテスクな球体オブジェにされ、マシアスは頭部、イゴールは腹部を吹き飛ばされ、シャノンは斬首。アランは胸を潰されて心臓が損傷してしまったので、全快には時間がかかる。
この全てが、一人の、わけのわからない少女によってもたらされた結果なのだ。
あの少女は、鑑定阻害の魔法をかけておきながら、禍々しい魔力を隠そうともせず、その上で体術だけで戦った。嫌な想像が頭をよぎる。
まさか、あれが我が主、我が魔王では───?




