俺たちの転生
「はーい、有栖川諭くん、服部あずみさん、池中瑠璃さん、高木亜実さん、泥島保典くん、熊谷一好くん、穴倉羊透くんですねー。 間違いないですかー? 返事ないから大丈夫ですねーはーい」
女神っぽいのが俺らの名前を呼んだ。
俺らは、この世界の住人じゃない。地球生まれのサイヤ……何でもないわ。ただの地球人だわ。
「あなた達七人は不慮の事故で死にましたー。 死んだ理由はちょっとアレでーす。 私はあなた達の魂をこの世界に召喚してあげた、心優しい慈愛の女神、カプリスでーす」
銀髪のロングヘアーに碧眼、純白のドレスの女神は、名前をカプリスというらしいわ。まさに絶世の美女といった容姿。でもタイプじゃないわ。
俺はもっと個性的な顔の方が好みなんだわ。自分が正統派の美形だから、ないものねだりで個性的な顔が好きなんだわ。イケメンによくあるやつだわ。いやいやまじで。
……いや、今はそんなこと考えてる時じゃないわ。この女神アレだもん。多分、異世界物のラノベ的なアレだもん。
これ今から、この女神が色々説明してくれる的なやつだわ。
俺と池中と穴倉でこれから色々考えないと詰むやつだわ。
いやね、後の奴らはアホしかおらんから、俺らがしっかりしないとダメなやつなんだわ。
いやいやまじで。
……ほら、服部がぽけーっとしてるわ。こいつアホだから、話聞かないで、頭ん中で今違うこと考えてるわ。絶対そうだわ。
池中は……、何か全てに怒っとるわ。今日のこいつは絶対頼りになんないわ。普段なら俺の次に頼りになる感あるのに。あー今日は俺と穴倉が命綱だわ。
高木はオドオドしてるわ。いつも通り、まごまごまごまごしてるわ。イラつくわ。俺はこいつ、無理だわ。
泥島は落ち着いてるわ。ってイビキかいとるわ。寝とるわ。
熊谷は血走った目で女神様の顔と胸と股間を何度も何度も必死に見てるわ。こいつ絶対この女神を夜のオカズにする気だわ。キショイわ。熊谷キショイわ。まじひくわ。
あ、ダメだわ。穴倉、地面に生えてるクローバーをガチャ目でメッチャ見てるわ。こうなったらもうダメだわ。四つ葉のクローバー見つけるまで穴倉の意識帰って来ないわ。命綱俺だけだわ。
「みなさんはこれからこの世界で生きてもらいまーす。 この世界には魔王とかいまーす。 でもちょっと人間が弱いっていうかー。 普通の人がレベル20も行ったら伝説級の勇者なのよねー。 で、みなさんには、魔物に転生してもらいまーす。 名前からそれっぽいの連想してバンバン転生させてくから、何かテキトーに活躍して生きて下さーい。 ある程度強くなったらチュートリアル終了でーす。 何か質問ありますかー? はーい手をあげた有栖川くん以外は転生ドーン☆ と見せかけて有栖川くんも一緒にドーン☆」
女神が杖を横一文字に振るったわ。そしたら俺たち全員、光に包まれたわ。そして俺たちはその場からかき消えたわ。