出会い
5月。
新しい学年にも慣れてきた頃。
高校1年生にもなると色恋づいてくる頃とタイミングとだいたい同じである。
しかし私にはそんなものは関係なかった。
というもの、私ー水瀬春花は16年間生きてきて恋人というものは出来たことも、作ろうと思ったことも無かった。
さらに、これからもそういった存在は出来るとも思わないし作ろうとも思わなかった。
なぜかというと、少し長くなる。
まぁ、かなり個人的な問題なので人に言うものでもなかった。
「とりあえず、何事も努力ね」
1ヶ月新しい学校、友達、環境で過ごした私は今の自分の目標を達成するために意気込んでいた。
私の目標はそう、定期テストで学年1位を取ること。
学年1位を取って行きたい大学へ行けるように、もっというと親を安心させられるように。
「勉強だけじゃなくて、そろそろ部活動にも入って学校の地位も高くね」
こんなセリフを言うと友達なんて出来そうにないなぁと1人で思いながら教室への廊下を歩いていると
「あれ、これは?」
廊下の張り出しに部活動の勧誘チラシが貼られていた。
運動部、文化部全てが新入部員に来てもらおうと必死という感じだった。
「正直言って、運動は得意じゃないのよね」
全くできない訳ではないが体育だけはどうしても苦手分野だった。なので入るなら文化部
学校内での地位を狙っているならもう決まっていた
「生徒会かなぁ」
ありきたりと言われればそれまでだが私にはその考えしかなかった。
たしか同じ学年に生徒会立候補者はいなかったはずだからと考えていた時
「あーあ、もう埋まっちゃったかぁ」
大人な声、と言えばすぐに伝わるだろう
振り返ると学年が1つ上の女性が目の前に立っていた。
私はその人を見た時、胸の奥で何かが響いた様な気がした。