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本編2
クラス会は楽しかった。
新しいクラスは楽しそうだ、という印象を持った。
帰り際に乃愛があるものを見つけた。
それは市民ホームの壁に描かれたへたくそな文字だった。
その文字を書いたのは間違いなく智希だった。
〈こうしえんにでる〉
その文字を見たとき、咲菜のなかであの日の出来事が鮮明に蘇ってきた。
中二の夏休みの朝、咲菜と乃愛は二人で宿題を終わらせるべく、乃愛の部屋にいた。二人はどうしても早く宿題をおわらせなければいけなかった。
夏休みの終わりの一週間、智希のところに遊びに行くのだ。
宿題がひと段落したところでふとテレビをつけた。
「速報です。連続殺人犯が〇〇県の△△中学校に立てこもりました。現在、グラウンドで部活動を行っていた生徒、約五十名、教師八名が人質になっている模様です。」
アナウンサーは緊迫した表情でそう伝えた。