表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

『¨青い瞳¨と¨蒼い瞳¨』

『…で、シオン様を連れて参りました。』


『ん…綾希子ちゃん?』


『確かめてみねばわからぬ…

ただ、ヤツと同じ¨青眼(せいがん)¨であればシオンは…』


『…僕の事を…なんで綾希子ちゃんと

お爺ちゃんが話してるの?…』


武光は一気に息を吸い込むと

窓ガラスが割れんばかりの声で一喝する。


『シオン!!! 起きろ!!!』


『はい~っ!』


シオンはベッドから飛び起き武光に敬礼していた。

と、横に立っている綾希子をチラッと見るが

綾希子はうつ向きシオンと目を合わせなかった。


『シオン、道場へ行くぞ!』


『はいっ!』


武光には一切逆らえないシオンの

厳しい修行の日々が伺える反応であった。


武光についてシオンが、それに続き綾希子も

道場へ向かって行った。

道場へ着くと武光はシオンに向かい


『構えよ!』と、一言。


逆らえないままシオンは

何故、今から組手を…と疑問を抱きつつも

構えをとると、そこには今までに見たこともない

武光の気迫に満ちた姿があった。


『シオン、気を集中しなければ死ぬぞ!』


『えっ、えっ、えっ…』


次の瞬間、武光の後ろからドス黒く濁った闘気、

強烈な殺気が溢れだしていた。と次の瞬間…


『神眼!!』


武光の体がうっすら光り、

閉じた(まぶた)をゆっくり開いた。

その目は金色に輝き獲物を狙う獣の如く

シオンに狙いを定めていた。


『な、な、な、なんで? お爺…じゃなくて、先生…ど、ど、ど、…』


あっ…


次の瞬間、武光渾身の右の拳が

シオンの顔面めがけて飛んで来た!


『イヤァ~ッ!』


両手で顔をかばい目を閉じて

縮こまっているシオン。

だが、武光の拳はシオンに届いていない。


『……………?』


その手の隙間から正面を覗いて見ると、

目の前数センチの所に少しずつシオンを

拳で貫こうと向かってくる武光の姿があった。


『これって、あの時と同じ…

けど、止まってるんじゃない…

お爺ちゃん、少しずつ動いてる…』


と、シオンが横に身を交わすと

スローモーションの武光が

シオンの動いた方向に目線を送り

再び次の拳を繰り出す。

だが、シオンがこれを避けられない訳がない。

更に次の拳を避けようとした瞬間、

武光はその手を止め直立する。

ただ、鋭い眼孔はシオンに向けられたままだった。


『お爺ちゃん…僕に何が…』


次の瞬間、『バタッ』と音をたて

シオンは意識を失い倒れてしまった。


『綾希子、見定められたのか?…』


『はい。間違いないと思います。』


『うむ。ヤツの言うことに間違いなかった。

シオンは間違いなく祖先の血を、意思を、慈愛を

受けついだ正当伝承者であった。

過去に心眼の中で¨自殺眼¨と言われてきた

¨青い瞳¨の¨青眼(せいがん)¨は

生まれて来たのだが、

悲しい結末を向かえ死んでいった。

まぁヤツ以外の話になるがの…。

しかしシオンは間違いなく

蒼い瞳の中心に金色の光を放っておったわ。

しかし、心眼の力に体の変化が

ついていけないのではあるがのぉ…

シオンが¨蒼眼(そうがん)¨の正当伝承者…か、』


『私はずっと確信しておりました…』


武光は綾希子を見てうなずくと道場を後にする。

綾希子はそれに答える様にうなずくと

シオンを抱き抱え道場を後にシオンを部屋へと

運んでいくのであった。


『シオン様…一生涯貴方にお仕えします…』


二人の姿が徐々に白く消えてゆくと再び

目の前に浮かんだのは窓の外から吹く風に

レースの白いカーテンがなびいていて、

その際のベッドに眠る

シオンの姿があるだけだった…





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ