マクアイ
「流……!」
倒れた幼馴染に、私はすぐさま駆け寄った。占い師に問い詰めたいところではあるけど、今は流が優先……
「心配しなくても、ニーサンはただ気絶しただけニャルよ」
占い師の言った通り……流はただ気絶しているだけみたい。
ホッとしたのも一瞬だけ、すぐさま私は占い師を問い詰めた。
「アンタ、なんで流を」
「ニーサンが力を望んだから、ニャーが力をあげただけだよ……」
「流が……?」
「事情は知らニャルけど、ニャーが誘導してあげてポロッと力が欲しいって漏らしたから、望み通りにしてあげただけだよ」
「……アンタ……何言って……?」
「ああ、ニーサンを元に戻す方法はないけど、進行を一時的に停滞させる方法ならあるニャルよ……聞きたいニャルか? 聞きたいニャルよね〜? イッヒヒヒ」
「答えなさい」
「イーッヒヒヒハハハ! じゃあネーサンがニーサンにそこまで構う理由を教えてくれニャルかなぁ?」
私が流に対してここまでする理由……? そんなの、決まってるじゃない……
「幼馴染だからよ」
「ヒィッヒヒアハハハ! いくら幼馴染でも、君のそれはあまりに深入りしすぎニャル!まるでメイドか新婚の妻みたいニャルよ!」
「黙りなさい……あと、さっさと教えなさい、どうしたら流の吸血鬼化を止められるの? ……答えなさい」
「ウッヒヒヒヒヒ、ネーサンがあまりにも面白いから仕方がなく本当の事を教えてあげるニャルよ! 人以外の血、もしくは血に準ずる液体を摂取すればしばらく……ひと月ぐらいは進行がストップするニャル! つまりあとひと月がタイムリミットニャルよ! さぁて、ひと月の間にネーサンはニーサンの為に何が出来るニャルかなぁ? ……ッキャハハハ」
嘲笑い続ける占い師……這い寄る混沌とやらの言葉を無視し、流を生かすための謎解きの答えを考え……そして、遠まわしに聞いた
「一番手には入りやすいのは……白色かしら?」
「っ……!」
一応言っておくけど、間違ってもオスからは出ない液体だ。だから『謎の白い液体』などではない。
「……ッフフフ、ニーサンに伝えておくニャル……せいぜい残り1ヶ月の人としての人生をネーサンと一緒に楽しめニャルとね……ッハハハハハ!」
そう言って、私達に這い寄ってきた混沌は逃げていった……
さて、1ヶ月で、何が出来るかしらね……私が流のために……
七光りだろうとなんだろうと……権力だってお金だって……必要なら私の身体だって使ってやろうじゃないの……だから……
「アンタが吸血鬼みたいなバケモノになったりしたら嫌だから……流」




