東京の彼。第5話。アルバイト。
彼と、私は、同じ職業を選んだ。
たまたま散歩していて、ポスターが目に入った。
駅からも近く、時給も良かった。
店内に入ってみて、制服まで確認したものだ。
店の中の雰囲気も気に入った。
彼と私は、歩いて10秒ほどのところにある、系列店で働くことにした。
いつも、一緒の私たちだったから、仕事も一緒が良かった。
でも、一緒の店ではなんだか恥ずかしいので、近くのお店でお互い働くことにしたのだ。
面接は、驚くほど簡単に通過した。
いつから来れる?なんて、簡単に聞かれた。
もちろん、いつでもかまいません。と答えた。
二人とも、仕事が決まった。
それまでは、親の仕送りなんかで、なんとかしのいでいた。
仕事は、とても楽しかった。
二人とも充実していた。
仕事の行き帰りは、あの青い自転車で二人乗りだった。
自転車は、彼の職場のほうに停めていた。
丈夫な鍵をかけ、それを保管するのは彼の役目だった。
同じ早番だったので、一緒の時間に起床した。
休みは、同じ曜日にし、仕事の時間以外は、いつも一緒だった。
仕事が終われば、近くの駅前で待ち合わせをした。
彼が自転車で迎えに来る。
それから、買い物をしたり、漫画喫茶に行ったり、パチンコに行ったりした。
まっすぐ家に帰ることは、あまりなく、いつもどこかに出かけてから帰った。
パチンコは、仕事を始めてから、どっぷりと二人ともはまった。
毎日通い、給料日前は、かつかつだった。
それでも、二人でいれば、何にも心配なかった。
お金なんてなくても、不安にもならなかった。
そのころは、あまり自炊もせず、毎日のように外食だった。
お弁当屋さんに、ファストフード、コンビに弁当。
飽きることなく外食を繰り返した。
おかげで、食費は大変な金額だった。
それでも、二人は、いつも笑っていた。
いつも、楽しかった。
二人でいれば、何もなくっても、楽しかった。
初めて会ったときから、2年がたっていた。
まったく、飽きることはなかった。